
受講期間:12ヶ月
これまで、経営学における製品開発は、戦略論、マーケティング論、組織論などの学際的な分野の一部として扱われてきたため、それらの応用分野としての製品開発の理論体系が十分に整理されていませんでした。
本講座の視点は、製品開発における個別の方法論「How」に対する知識ではなく、製品開発の組織や戦略の基礎となる考え方やロジック「Why」に対する知識を体系的に学ぶことを目的としています。また、「ヒット商品」を狙うための製品開発ではなく、「持続的な競争力を構築する」ためには、いかにして組織能力を構築したら良いかについて解説します。最後に、優れた製品開発を持続的に行える組織の条件についても明らかにしていきます。
理解度テストあり
製品開発は、経営の中でも最も難しい分野の一つであると言えます。製品開発による価値創造を実現するためには、「Value Creation」(技術・製品価値創造)、「Value Delivery」(価値創造プロセス)、「Value Capture」(事業価値獲得)の3要素が必要です。とりわけ日本企業では、この「Value Capture」が弱いと言われており、この能力をどのように向上させていくかが、製品開発を利益に結びつける大きなポイントと言えます。
今回は、事業価値創造の3つの要素を解説し、「Value Capture」を実現するための組織能力(コア技術・組織プロセス・ビジネスモデル)をどのように構築し、製品開発に活用するのかについて学習します。
第2回目の今回は、コア技術能力による組織能力の差別化によって、持続的な競争優位・価値創造・Value Captureを実現するための製品・技術戦略について解説します。
はじめに、製品・技術戦略のポイントとコア技術戦略の定義について確認します。ここで言うコア技術戦略とは、コア技術に資源を集中し技術的優位を高めつつ、それを広範な商品に活用する戦略です。これは経営資源を集中しコア技術を育成する長期的活動と市場ニーズへの適切な対応という短期的活動の2つを同時に満たすことが必要となります。
次に、3M社の製品開発マネジメントとテクノロジープラットフォームの全社的な活用例から製品・技術戦略を学びます。
さらに、差別化された液晶技術で高い収益を維持しているシャープの事例では、コア技術への徹底的集中、コア技術活用製品の開発・販売によりコア技術と市場を並行して育成するスパイラル戦略、潜在ニーズを発掘・提案するプロダクトアウト型商品開発とそれらを可能にする横断型の組織マネジメントについて学んでいきます。
今回と次回の2回にわたって、組織能力による差別化を実現するための「組織構造」と「組織プロセス」について解説します。組織は、これら2つがフィットしてはじめて組織成果を達成することが可能になります。第3回の今回は、このうち製品開発の「組織構造」について学びます。
製品開発を行う組織は、「専門機能の実施」と「製品としての統合」の2つの役割に分割して考えることができます。「専門機能の実施」を重視する場合は「機能別組織」、「製品としての統合」を重視する場合は「プロジェクト組織」の形態が選択されることが多くなります。その中間的な形態として「マトリックス組織」があります。これらの組織構造には優劣がある訳ではなく、市場顧客ニーズの複雑性や要素技術の革新性などを勘案し、より最適なものを選択する必要があります。
「機能別組織」、「マトリックス組織」、「プロジェクト組織」の特徴やどのような分野の開発に適しているのかを整理した上で、シャープとトヨタの事例を取り上げ「製品開発の組織構造」について学びます。
前回は、組織能力による差別化を実現するための製品開発の「組織構造」について学びました。第4回目の今回は、もう一方の「組織プロセス」について解説します。
「製品開発プロセス」の目的は、目標の機能・品質・コストを実現するために、複雑な試行錯誤とフィードバックプロセスを通じて、最小の時間と工数で開発することにあります。このような意味で「製品開発プロセス」は、創造性の高い問題解決のプロセスであると言えます。ここでは、製品開発を効率的に実行し、問題発生や手戻りを極力抑えこれらを実現する手法として、複数のタスクを並行に進める「コンカレント・エンジニアリング」の考え方と、問題解決の前倒しである「フロントローディング」の目的と要件を学びます。
次に、分析重視アプローチをとる欧米と、全体性重視アプローチを取ることの多い日本を比較して、日本の組織的な特徴が「コンカレント・エンジニアリング」や「フロントローディング」と相性が良い理由を自動車製品開発の事例をもとに解説していきます。
近年の電子化・デジタル化や競争の激化、諸外国の製造力向上等により産業構造の垂直・水平分業化が進んでいます。系列など部品毎に分業する従来の水平分業から、EMS・ファウンドリなどの製造委託、ファブレス・デザインハウスなどの開発委託、OEM(Original Equipment Manufacturer)・ODM(Original Design Manufacture)などのように機能毎の分業化など様々な形態があります。
さらに、製品特性と戦略により、何を内製(Make)し、何を外注(Buy)するかの決定、外注先企業との企業間関係構築、外注先を一社にするか複数社にするかの判断は、企業の発展にとって非常に重要な意思決定となります。
今回は、トヨタの包括的なサプライヤネットワーク管理やキーエンスの顧客ネットワーク戦略など具体的事例から、ビジネスモデルとアウトソーシング戦略について学んでいきます。
バブル崩壊後の景気低迷により、日本企業の組織能力の問題点が数多く指摘されてきました。日本企業と欧米企業はそれぞれの特徴は違いますが、いずれかが優れているというものではありません。「擦り合わせ能力」が得意な日本企業と「組合せ能力」に長けた米国企業など各々得意とする分野が違うということです。最終回の今回は、このような日本型企業の特徴を学び、どのような分野で日本企業が競争力を発揮できるのか、またどういった分野に弱点があるのかを学びます。
次にこのような特徴を踏まえた上で、本講座のまとめとして日本企業が競争力を高めるためのコモディティ化を避ける戦略や「製品開発」と「組織能力」のスパイラルについて学習していきます。





