
受講期間:12ヶ月
顧客、従業員、株主・投資家、取引先、競合他社、地域社会等、他者、他国への影響を考慮に入れず、自分勝手なビジネスを続ければ、市場そのものが行き詰まってしまいます。各企業が自由なビジネス活動を求めるのであれば、自らの力で自らを律する能力を身に付けなければなりません。その能力がCSR体制であり、このような体制を整えることができなければ、事業の継続性は不可能となります。 今、企業に問われている企業の社会的責任とは何なのか、その背景、そして世界の企業の行動指針やガイドライン、利益を持続するための条件など、CSRの取り組み事例の紹介を交えてわかりやすく解説します。
【理解度テスト】あり
このユニットでは、CRTの理念と歴史について触れます。1980年代に日本と欧米間で生じた貿易摩擦を、元フィリップス社社長とフランスのオリビエ・ジスカールデスタン元ヨーロッパ経営大学院副理事長が緩和し、日米欧間の経済・社会関係の健全なる発展を計りたい、という願いからCRTは生まれました。CRTとはCaux Round Tableの略称で、スイスにあるコーという小さな村で行われた円卓会議が名前の由来となりました。第1回グローバルダイアログは1986年に行われ、欧米側の日本へ対するバッシングが非常に強かったものの、CRTの理念である「自らを正すことを第一とし、誰が正しいかではなく何が正しいか」を基盤に、無事、共同提案が纏まりました。その結果、1994年にはCRTの「企業方針」を生み出す事に成功し、特に重視されているポイントとして「共生」そして「人間の尊厳」が挙げられます。CRTは、これらのキーワードを基盤に今でも幅広く活動しています。
Unit 2では、まず日本においてCSRがどのように浸透してきたのかを説明します。近年、急速にCSRが普及しているのはなぜでしょうか?背景として、企業不祥事が繰り返されたことよる、消費者の不信感が挙げられます。社内で常識とされていることであっても、世間では非常識とされることも多々あります。例えば、自動車のリコール隠しや耐震偽造問題などは記憶に新しいことと思います。これらの不祥事に、地球環境問題や人権問題を含めた形でCSRという概念が欧州から持ち込まれましたが、日本では石田梅岩や渋沢栄一らによって経済と倫理を両立させる思想的基盤がありました。 IT化による情報量の増大、SRI等の企業に対する総合的評価の活発化、環境報告書作成促進の法律化(2004.3)などにより、ますますCSRは拡大しています。アメリカでは企業不祥事に対して民間主導でCSR概念が構築され、SRIなどが活発に行われ、欧州ではEU全体の持続的発展及び雇用の確保を図る政策としてCSRを重視しています。日本企業は社会的分野での取り組みが遅れており、各地域や社会の特性を活かしたCSRが求められています。 CSR活動は、本業を通じた各分野での実績について、対外的な説明をきちんと果たし、ステークホルダーから信頼を得て、社会と企業の持続可能な世界を目指すことにポイントがあります。
現在、新聞やニュースなどのメディアを通して、様々な情報を得ることが出来ます。最近は特に、企業の不祥事について、いろいろなところで耳にする様になりました。一昔前では問題にならなかった事が、現在では企業の倒産まで追い込む事もあります。なぜその様な事が起きてしまうのでしょうか?それは企業が顧客、従業員、株主や投資家、取引先、競合他社、地域社会等、他者、他国への影響を考慮に入れず、自己利益だけを追求した結果から起きてしまうのです。そのため、CSRというコンセプトを導入し、様々な状況に応じて対策を考慮する事は非常に重要な事であり、最終的には社会の持続的な利益につながることになります。しかし、ただ単純にCorporate Social Responsibility (以下、CSRと略)と言っても、様々な社会的責任があります。同時に、企業倫理とコンプライアンスの定義についても理解する必要があります。企業倫理とコンプライアンスとは、法令遵守は無論、社会通念・一般常識までも含めた事項を遵守することです。業務を遂行する際、常に客観的に物事を見分け、おかしな行動に対して「気づき」の感覚を持ち、直ちに上司や関係部署に相談や情報共有をし、自己改善へ向ける事が会社の役目の1つでもあります。
国際連合や日本経済団体連合会など様々な機関で企業方針が掲げられていますが、これらの指針はCRT独自の企業の行動指針を参考にデザインされたものです。
このCRTの指針は①企業の責任、②企業の経済的、社会的影響、③企業の行動、④ルールの尊重、⑤貿易自由化の推進、⑥環境への配慮、⑦不正行為の防止、の7項目より成り立ちます。これを図式化し、CSR対策を講じます。
企業にとって短期利益をあげる事は難儀ではありません。しかし、長期的に利益を維持するとなると、ステークホルダーへの配慮、環境への関心などを高めていく必要があります。これは道義的資本主義と呼ばれ、社会資本、評判又は信用と呼ばれる資本、財務資本、物的資本、人的資本の5つの項目を補充したものです。そしてビジネスの道義性を判断する基準として、徳と私利を両立させるバランスがキーポイントとなってきます。徳と私利の重複部分が「全体を配慮した自己利益」になってくるのですが、この部分が重なれば重なるほど、理想的企業に近づきます。ビジネスとは一方通行なものではなく、他人の相互作用によって成功するものです。もし、道義的資本主義的な企業であれば、道のりは長いものの、最終的には信頼、そして業績をあげる事ができます。逆に、反道義的資本主義は、徳より利益を重んじるので、弱肉強食の世界を構成します。すると、ステークホルダーである消費者や従業員、株主などへの配慮が低い企業は、信頼を失い、結果として株式投資の破綻、従業員、債権者、仕入先の経済的損失につながります。ビジネスの成功の元となるのは、利益を最大限に伸ばしつつも他者への配慮を心掛けることです。
これまでCSRの仕組みや倫理について述べてきました。現在では、CSRの浸透普及に向けて様々な取り組みが実施されておりますが、このユニットでは、ご参考までにCRTがどのように具体的に様々な企業のCSR活動を支援しているのかいくつかご紹介していきます。
CSRの推進ステップは、①経営方針との合致、②PDCAサイクルの構築、③行動への展開、④ステークホルダーとのコミュニケーション、の4段階に分かれており、これらのステップの経過途中として、経営者向けと全社向けのCSRイノベーションや、マテリアリティ(重要性)の測定などの方策をとります。





